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「深夜タクシーでの会話」ー建築士の職域ー

仕事柄深夜タクシーの利用が多い。

事務所からの場合は、祇園からの帰りとはちがい、しらふである。
運転手さんも客層を見極めるためもあって質問をしてくる。
「お仕事ですか。」
「はあ、設計事務所なので・・・」
次の質問は、はっきり2つに分かれる。
「それは、ずいぶんお忙しいでしょう。」
と来るかあるいは、「建築業界はどうですか。」だが、こちらは「不況で
すよ。」との答えを期待しての問いである。
どちらの場合も、つい設計業界事情の説明に掛かってしまう。

さて、運転手さんのというか社会一般の反応であるが、当方が設計と
言ったとたん「いやー、細かい仕事ですなあ。大変でしょう。」
とくる。

設計の仕事は細かい精緻な図面を書くこととの社会一般認識が行渡って
いるのだろう。それはその通りで異論はない。

細かい図面とは、多くの場合鉄筋コンクリート構造の鉄筋を一本一本に
いたるまで設計し描くという感覚か、電機や給排水などの配管配線図を
意味している場合が多いことは今までの数十回(?)に渡る会話であきら
かである。また木造建築物でも矩計りなどの詳細図面をイメージされて
いるのかもしれない。

余談であるが、運転手さんによっては「自分も以前は建築業だったん
です。」といわれる方もいらっしゃる。打ち続く不況でこのような方が
増えている。

このように話が弾むと、つい建築士の職域の説明をしてしまう。
「建築士は一言で括れないのです。建築の設計をする人は全建築士の
せいぜい40%で、その中でも鉄筋コンクリートや木造などの分野に
別れるだけでなく、デザインや総括に携わる人以外に構造設計や設備
設計の専門がいるのですよ。」と話すと、「へー、建築士さんはみんな
デザイン設計をされるのかと思っていましたわ。」となる。

有名大学での一級建築士さんだからと自宅の設計・監理を依頼したが
どうも満足いく対応ではない。詳しく聞くと、その一級建築士さんは
構造の専門家だったというような話は結構多い。

自分を振り返ると、大学を出て設計事務所に勤め、公民館などの設計に
明け暮れしているときに知り合いの花屋さんから店の設計をしてくれない
かと言われ、断ったことがある。今思うと、なんと覇気のない態度だった
と思うが、建築の設計の全容が見えていないゆえの回答だったとも思う。

建築士としての経歴は、勤め先で学校、公民館、体育館、特養と設計に携
わった後、独立し個人住宅、貸しビル、商業建築などを経験し、今では医療
福祉にかなり特化して建築設計監理を行っている。

先ほどの運転手さんの話に戻るが、僕が「今では細かい図面は事務所の
若手が書き、自分は企画書、収支計算書作成や全体を見ています。」というと
なんとなく冷たい反応なのである。図面も書かないのかという感じかも
しれない。

自分自身も、そういえばもう図面は書いていないなあと感慨はある。
しかし、建築設計は一人でできるものではなく、設計図書作成のみが業務
ではない。

建築の価値はクライアントの願い、明確に意識されていな場合もある、
この願いを社会的地域的文脈の中で最適の解として創出していくこと
にあるのだと思う。そのためには所謂、図面を描くという作業の中だけに
この解を求めるのではなく、工事監理部分や竣工後のさまざまな整理まで
の業務がなされて初めてクライアントの願いは達成される。

このように、設計業務の中のコスト、工程管理などマネジメント部分に
実は大きな役割があることは、あまり知られていない。もっともマネジ
メント業務のみを行い、設計自体を外注する姿勢もよしとはできない。
企画・設計・マネジメントの全業務が、深く関連して全体が達成される
ものだからである。建築設計は監理段階から竣工後業務までの総合的な
業務でありまた、連携の中でこそ完結する業務であるからである。

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テーマ : 仕事と資格
ジャンル : 就職・お仕事

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