スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

二人のピアニスト(辻井伸行・梯剛之)ー音が創る生命ー

辻井伸行君は2009年のヴァン・クライバーン国際音楽コンクールに優勝を果されたピアニストだ。コマーシャルをはじめメディアにはよく登場されているので、皆さんもご存知と思う。梯剛之君は、辻井君より11歳上のピアニストでこちらも演奏会やCDを多数出されている。お二人に共通なのは、10歳ころから神童振りを発揮され海外での演奏活動をされ現在は世界的に有名なピアニストとして活躍されていることである。

ピアニストに限らず世界を股にかけて活躍するアーティストは、国際コンクールでの入賞効果が大きい、ことに優勝の二文字は何にも代え難い威力を持つといわれている。そういう意味で辻井君の場合はまさに快挙であり、世間が大騒ぎするのもよく解る。

しかし、僕は梯君のピアノが大好きで、彼のモーツアルトはi-podで愛聴している。

初めて彼の音楽を聴いたときに感じたのは、とにかく音が喜びを身いっぱいに表しているところなのだ。モーツアルトのピアノ曲は、単音が多く、しかもそれが重要であるのだ。ということは、その音色が如何に大切かということだと思う。彼のモーツアルトはそういう意味で輝いている。子どものように素直な感性がピアノの音に出会って、その喜びをみなぎらせているように感じてやまない。多くのモーツアルト弾きといわれるピアニストの演奏がともすれば感情に流され、音色に無頓着に弾いてしまう速いパッセージを彼は、たやすく美しい音で慈しみしかも楽しんで弾いている。

梯君ファンの僕としては、いきなり有名になりメディアに頻繁に取り上げられた辻井君に一歩距離を置いていたというのが正直なところだ。

昨日、事務所近くのブックストアにあるCDショップで偶然に辻井君の試聴CDを見つけ、つい聞いてみた。

まず、ショパンリサイタルの舟歌を選んだ。水面に櫂をつけるような少し重厚だが、澄んだ和音で始まるこの曲は好きで、多くのピアニストの演奏を聴いている。彼の舟歌はやや軽快に過ぎるように思えた。やはりと勝手な納得をして、すぐに最新のCDに移った。

リストの愛の夢を選んだ。柔らかな音色の出だしの6度の二音に僕は引き込まれてしまった。柔らかく歌うメロディと、めりはりの利いた重音はなんて魅力的であることか。横のディスプレー棚には佐渡裕さんの寸評が展示されている。「若い辻井君が、僕の奨めでピアノに向かうと音楽の神が降臨して彼に乗り移ったようだ。僕は涙が止まらなかった。」と書かれている。僕は、次のCDに移った。ヴァン・クライバーン国際音楽コンクールでのライブCDには、生き生きとした躍動感にあふれるショパンが入っている。ずっと聞いていたい気持ちを抑え、今日はまず最新版のCDを持ってレジに向かった。

耳が聞こえなくなった音楽家には、例えば晩年のベートーベンがいる。彼の一生涯を縦断的に語る32のピアノソナタは、好き嫌いはあるだろうが、僕は晩年の6曲が好きである。中でも全ての束縛から脱した大作曲家の軽やかな天国的な境地の作品111の最後のソナタが大好きである。ベートーベンは晩年に聴覚異常になったのだ。梯君は生まれてすぐに、また辻井君は生まれながらに盲目である。ハンディの内容は違うがかれらが音を通じて感じる空間はどのようなものなのだろう。二人にとって音との親和さは計り知れないものがあるのだろう。

スポンサーサイト

テーマ : お気に入りアーティスト
ジャンル : 音楽

「深夜タクシーでの会話」ー建築士の職域ー

仕事柄深夜タクシーの利用が多い。

事務所からの場合は、祇園からの帰りとはちがい、しらふである。
運転手さんも客層を見極めるためもあって質問をしてくる。
「お仕事ですか。」
「はあ、設計事務所なので・・・」
次の質問は、はっきり2つに分かれる。
「それは、ずいぶんお忙しいでしょう。」
と来るかあるいは、「建築業界はどうですか。」だが、こちらは「不況で
すよ。」との答えを期待しての問いである。
どちらの場合も、つい設計業界事情の説明に掛かってしまう。

さて、運転手さんのというか社会一般の反応であるが、当方が設計と
言ったとたん「いやー、細かい仕事ですなあ。大変でしょう。」
とくる。

設計の仕事は細かい精緻な図面を書くこととの社会一般認識が行渡って
いるのだろう。それはその通りで異論はない。

細かい図面とは、多くの場合鉄筋コンクリート構造の鉄筋を一本一本に
いたるまで設計し描くという感覚か、電機や給排水などの配管配線図を
意味している場合が多いことは今までの数十回(?)に渡る会話であきら
かである。また木造建築物でも矩計りなどの詳細図面をイメージされて
いるのかもしれない。

余談であるが、運転手さんによっては「自分も以前は建築業だったん
です。」といわれる方もいらっしゃる。打ち続く不況でこのような方が
増えている。

このように話が弾むと、つい建築士の職域の説明をしてしまう。
「建築士は一言で括れないのです。建築の設計をする人は全建築士の
せいぜい40%で、その中でも鉄筋コンクリートや木造などの分野に
別れるだけでなく、デザインや総括に携わる人以外に構造設計や設備
設計の専門がいるのですよ。」と話すと、「へー、建築士さんはみんな
デザイン設計をされるのかと思っていましたわ。」となる。

有名大学での一級建築士さんだからと自宅の設計・監理を依頼したが
どうも満足いく対応ではない。詳しく聞くと、その一級建築士さんは
構造の専門家だったというような話は結構多い。

自分を振り返ると、大学を出て設計事務所に勤め、公民館などの設計に
明け暮れしているときに知り合いの花屋さんから店の設計をしてくれない
かと言われ、断ったことがある。今思うと、なんと覇気のない態度だった
と思うが、建築の設計の全容が見えていないゆえの回答だったとも思う。

建築士としての経歴は、勤め先で学校、公民館、体育館、特養と設計に携
わった後、独立し個人住宅、貸しビル、商業建築などを経験し、今では医療
福祉にかなり特化して建築設計監理を行っている。

先ほどの運転手さんの話に戻るが、僕が「今では細かい図面は事務所の
若手が書き、自分は企画書、収支計算書作成や全体を見ています。」というと
なんとなく冷たい反応なのである。図面も書かないのかという感じかも
しれない。

自分自身も、そういえばもう図面は書いていないなあと感慨はある。
しかし、建築設計は一人でできるものではなく、設計図書作成のみが業務
ではない。

建築の価値はクライアントの願い、明確に意識されていな場合もある、
この願いを社会的地域的文脈の中で最適の解として創出していくこと
にあるのだと思う。そのためには所謂、図面を描くという作業の中だけに
この解を求めるのではなく、工事監理部分や竣工後のさまざまな整理まで
の業務がなされて初めてクライアントの願いは達成される。

このように、設計業務の中のコスト、工程管理などマネジメント部分に
実は大きな役割があることは、あまり知られていない。もっともマネジ
メント業務のみを行い、設計自体を外注する姿勢もよしとはできない。
企画・設計・マネジメントの全業務が、深く関連して全体が達成される
ものだからである。建築設計は監理段階から竣工後業務までの総合的な
業務でありまた、連携の中でこそ完結する業務であるからである。

テーマ : 仕事と資格
ジャンル : 就職・お仕事

理想の建築士とは

大学では建築家という存在のプライオリティを教えられました。
つまり、建築家(アーキテクト)が建築のなんたるかを総合判断し、建築を創造するというものです。

建築家は無秩序な社会に合理性に裏付けられた美を創造する。このように教えられ、建築家を目指しました。


社会に出ると、そこは想像もしなかった奥の深い世界が広がっていました。


独立してからのことですが、会心の図面を携え訪れたクライアントの第一声に僕は愕然としました。

彼は、このビルを建てたらいくら税金が助かるの?というのです。それは分かりませんと言いかけ、言葉を飲み込みました。

クライアントは建物のデザインだけではなく建築の全てを考えている。これでは歯が立たないと感じ、帰って、会計士に教えを請いました。

その後、建築と税務の融合した企画提案をはじめることになりました。



建築家は建築家だけで物事を進めることはできません。


まずは、クライアントの願い。社会の制約。技術の課題。そうしてものを作る施工者との協働が必要なのです。

建築という言葉には、ものをつくることを中心に、社会や環境そうして人々の生活まで踏み込む創造行為が含まれています。


そうであれば、建築家でありながら、都市環境を、不動産を、税務を

そうして商業を経済をと多方面の専門知識を持つことが求められている
と思います。

少なくともそれらの専門領域との連携が必須なのだと考えます。



これらの知識や技術の連携が、一つの計画に集約されなければなりません。

その要は、クライアントや社会への共感から生まれる熱意です。


この熱意を持つ全人的建築士を、僕は理想の建築士と考えます。

テーマ : 仕事と資格
ジャンル : 就職・お仕事

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。